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実体のないものの恐ろしさ
一時、橘玲氏の本を皮切りに、株式投資の本を読み漁っていました。
平行してヨーロッパの歴史や現在の食品の安全性についての本などを乱読した結果、
妙な曲折を経て、全てのことがぴたっと頭の中で一致し、7年前に出されたこの本を
手にすることになりました。
早速、続編である「エンデの警鐘」も注文しました。
私が今住んでいるフランスでは、ユーロに移行した当時、お金と社会のあり方について
EU統合以上に巷でいろんな声がきかれました。
最初は消費社会が何故いけないのか?グローバリゼーションがどうしていけないのか?
能力主義で稼ぐだけ稼いで贅沢することを疑問視する人がどうしているのか?どうして
広告を批判するのか?興味もなければ理解もできませんでした。
今、世の中が凄い勢いで変わり、人々が気がつかないうちに街の古本屋やおいしいお惣菜
屋が国際フランチャイズ店にかわってしまいました。
そうなって、はじめて気がついたのですが、幸せというのは量ではなくて質なのだと。
こう何百年もかけて、あるカラクリに世界がはめ込まれてきたことが、この本からもわかり
ます。利子を産むお金というものが、こう限りなく増殖するとどうなるか・・・?
これは人類全体の癌のようなものなのだと思いました。
「もっと欲しい、もっと豊かに、もっと大きく、もっと発展・・、
人より得したい、人より金持ちになりたい・・・」これは人類の原罪です。
幸せが何かを勘違いしている、勘違いさせられた、いや無知というのは最大の罪なのですね。
ご存知の通り、イブはりんごを食べてしまったがために、楽園を追放されました。
「お金」と私達が考えているものが実は、このりんごにあたるものだったというのが
私のエンデの遺言についての理解です。
「モモ」をじっくりと読んでみようとおもいます。
意味のある読書となりました。
私のように、これまでこういうことに気がつかなかった人にも広くこの本がよまれるように、
新書かなにかで再版されればいいとも思いました。
ほかの方のレビューにもある通り、第三弾もお願いしたいです。
現代文明を正常にもどすために「腐る貨幣」を考えていたエンデ。
この本を、「モモ」とか「果てしのない物語」と同じようなファンタジーと思って買うと、
まったく違う本ですから、失望するでしょう。
しかし、エンデは「成長を前提にし、成長を強制する性格をもつ現行の金融システムが、この競争社会を生み出している根本原因だ」と喝破していました。
もともと物物交換からはじまった経済が、貨幣というものを生み出すことによって、
貨幣がいつでも肉や魚の変わりとなったのです。しかし、誤算は、この貨幣というものが腐らないことでした。で、貨幣は貯めておくことができる、利子を受け取ることができる、という様になりました。この特質をいち早く知り、実行したのがユダヤ人でした。
しかし、「この現在の金融システムはたかだか数百年でできたものだから、その限界や不合理に気がつけば、変えることができる」というのがエンデの思索で、彼は「腐る貨幣」を考えていました。
本書では、NHK出版のスタッフが、エンデの遺言を証明すべく、世界の過去、現在にあった、
腐る貨幣を作った地域・国の腐る貨幣の歴史とメリットを紹介するとともに、
我々が作家として知っているエンデの、あまり知られなかった深い思索の世界へ一歩踏み込んだ内容になっています。
資本主義経済の問題が浮き彫りに
物と交換する為の手段として発明された貨幣。
物との媒介手段に過ぎない以上、貨幣も物と同様、劣化していくべきものであるはずである。
だが現在のルールでは貨幣は時間が経っても不変の価値を持っている。
そこに「現実とのずれ」が存在する。利子という考え方でその「ずれ」はますます開いていく。
そのずれは一体誰が穴埋めをするのか?考えてみればすぐに分かるだろう。
金が金を生む経済、投機等が如何に現実とかけ離れたゲームであるかがよく分かる。
このまま現実を直視せずにマネーゲームに踊らされていれば全てを失う日が確実に来るだろう。
エンデの言葉は核心を突いている。人類破滅への道を阻止する必読の書である。